【書評】不機嫌な果実がドラマ化したので再読してみた。
「不機嫌な果実」がドラマ化されたので再読してみた。
主人公の水越麻也子は32歳結婚6年目、大手金属メーカーで働く夫を持ち、気ままなOLライフを送っている。しかし、夫が結婚以来自分を「女」として扱ってくれない、周りの男性陣も自分が人妻ゆえに、「女」として扱ってくれることがなくなったことで「私は損をしている」という感覚に陥り、かつての恋人野村や音楽家の工藤と道ならぬ不倫へと進みだす。
林真理子の恋愛小説はいつもそうなのだが、身も蓋もないのである。男女の恋愛と言えば、互いが情熱的であらねば物語は成立しないと思えるのだが、本作、主人公麻也子の心中はどこまでいっても冷静であるし、自己中心的である。だが、現実の恋愛は、常に情熱的で運命的であることはあり得ないし、往々にして打算的なものであるからリアリティーがあるともいえる。
ただ、こんなにも誰にも感情移入できない小説も少ないと言える。主人公がいわば生活に潤いを求めるために、不倫を始めている。何とも不純な動機である。(不倫に純も不純もないと言えるが。。)普通は運命的に出会い、戸惑いながらも抗うことができず、気付いた時には引き返せなくなっていたという展開を期待するのだが。。
また、小説は90年代が舞台となっているので、平成生まれの身としては、バブル臭がするなあと感じた。ある意味、その時代の雰囲気や風俗を知る史料として読むこともできなくもない。(ドラマは現代風に多少アレンジされているなあと感じている。)
ドラマはまだまだ続くので、小説版との比較を楽しみつつ、見ていきたいと思う。
~独白も多く、ある意味、自然主義文学っぽいなあとさえ思ってしまった。~
I reread the novel '' Fukigenna kajitsu'' written by Mariko Hayashi.
The novel is dramatized. The drama is playing on television ever Friday.
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