【書評】原爆供養塔 堀川恵子著

広島の平和記念公園には、原爆で犠牲になった人々の遺骨を祀る慰霊塔があります。本書はその慰霊塔に祀られる犠牲者の方々の原爆投下までの人生を辿りながら、広島の戦前、戦中、戦後を紐解いていきます。

原爆供養塔 忘れられた遺骨の70年

原爆供養塔 忘れられた遺骨の70年

広島の平和記念公園原爆ドームはあまりにも有名ですが、原爆供養塔について知っている方は多くはないのではないでしょうか?
私自身、先日旅行で平和記念公園を訪れましたが、原爆供養塔に気づくことができませんでした。

法律上、墓地は公園に設置することが出来ないとされており、供養塔建設当時、問題となりました。しかしながら多くの人の尽力で無事供養塔は建設されました。しかし建設経緯や時代の雰囲気からか、慰霊塔は人々から注目を浴びることはあまりありませんでした。

広島といえば、平和教育が徹底されているイメージがあったのですが、戦後直後は原爆の後遺症で突然体調を崩し亡くなっていく人々を恐れ、原爆の被害に遭った人を差別する向きがあったのは当たり前と言えば当たり前なのですが驚きました。

引き取り手のない遺骨の人々の人生を辿ることで、あの日に多くの人々の人生が一気に消え失せてしまったことがわかりました。

There is a memorial tower in Hiroshima Peace Memorial Park.
It has many remains whose fell victim to the atomic bomb in 1945.