【書評】 REVERSE リバース 石田衣良
気分的に、手軽な恋愛小説が読みたいなーと思ながら、書店に立ちよる。
集英社の恋愛フェアが目に留まる。
そのフェアの作品の一つが、今回ご紹介する「REVERSE リバース」だった。
あらすじを読むと、「ネットで出会った男女がお互い自身の性別を偽りながら、連絡を取り合っているうちに惹かれあっていく・・・・。」云々。
あらすじで興味を持ち、買うことに。
読み始めると止まらず、一気に読み終わる。
小説の舞台は東京で、男女が性別を逆転させて、ネットを通じて心を通じ合わせる。
設定はありそうでなさそうだが、突飛な感じではなく、納得できる。
忙しい日々で、仕事で充実感を得つつも、何か物足りない日々を送る主人公たちにはとても共感できた。
また、女性の主人公は洋服の輸入商社で働く、キャリアウーマンで、元彼が色男で遊び人の雑誌編集者。話の中では、人気急上昇中のイケメンモデルが登場したりして、華やか。芸能界やファッション業界の描写も具体的で小説の真実味を増していた。
石田衣良作品を読むのは「眠れぬ真珠」以来、2作品目。
正直、「眠れぬ真珠」は、話としては面白いが、性描写が激しすぎて、ちょっと引いてしまった作品だった。それ以来、石田衣良の作品は手に取っていなかった。
けれど、本作を読んで、石田衣良の作品に対する見方が変わった。
他の作品も手にとってみようと思えた。
ネットから始まる恋愛を描いた他の作品としては、有川浩の「レインツリーの木」や吉田修一の「東京湾景」がある。
両作品とも、エンターテイメント性があり面白い作品でおすすめです。