【書評】路 吉田修一

久々に本で涙を流した。しかも、電車の中で。

台湾人の友達も多いし、何度も台湾に行ったことがあるので、かなり感情移入した。

本書は、台湾新幹線開通までの7年間を数人の台湾人と日本人の人生とを絡ませつつ進んでいく物語である。登場人物が、思い悩みながらも前向きに生きていく様を描いていて、切ないながらも爽やかな作品に仕上がっている。

登場人物たちは、生きている間に互いの国に「言葉の忘れ物」をしている。
大切な人に言いたいけど、言えない一言。

相手にきちんと自分の気持ちを言葉で伝えられないことに忸怩たる思いを持っているのに、相手はきちんと自分の気持ちを理解してくれて、許してくれる。

普通、異国の人とそのような関係って、構築しづらいはず。しかし、台湾と日本の設定であればリアリティーがある。

日台は、過去互いの歴史を共有し、離ればなれになった後でも、互いを思い続けている関係にあるから。

☆海角7号が台湾からのラブレターだとしたら、路は日本からのラブレターだと思う。

This novel moves me.
 I sheded tears in the train because of the novel.
I think this novel is a love letter from Japan to Taiwan.

路 (文春文庫)

路 (文春文庫)