【旅行記・新潟】瞽女(ごぜ)さんとの出会い

4月半ばに、新潟へ温泉旅行へ行きました。
温泉で日々の疲れを癒し、高田城の夜桜を愛で、美味しいお魚を堪能することを目的としする旅でした。

旅の途中で様々な出会いがあり想像以上に新潟を楽しむことができました。
そこで、旅の記録を2回に渡ってお伝えしようと思います。

まず、高田瞽女(ごぜ)との出会いです。

皆さんは、瞽女さんをご存知ですか?
視覚障害を持つ女性が三味線を弾きながら、唄を歌い農村を中心に各地を廻っていた人たちを瞽女さんと言います。

数年前の作品にはなりますが、綾瀬はるか主演の映画『ICHI』は、瞽女さんを題材にしています。

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娯楽の少なかった時代には、瞽女さんの来訪が各地で待ちわびられていたそうです。

最盛期には、全国的に存在していました。とりわけ新潟の高田には、瞽女さんの家が多くあり、一大拠点となっていたそうです。そのため、高田には、瞽女さんがいなくなった現代に彼女たちの遺した文化を次代へ伝えるため様々な取り組みをしている方々が存在します。

前置きが長くなりましたが、私が瞽女さんの存在を知ることになったのは、とあるお土産屋さんの店員さんとの会話でした。

そのお土産屋さんは、きものの小川というお店で和雑貨を扱っていました。建物が、高田の伝統的な町家であったため、売場以外のスペースも一般公開されていました。2階の公開スペースに飾られていた一枚の絵が私の気を惹きました。なんとなく物憂げな表情をした女性、背景の強烈な赤。女性の表情からモリディアーニの作品も想起されます。1階の土産物屋に同じ画家の作品と思われるポストカードが数種類売られていたのを思い出しました。

高田ゆかりの画家の作品なのかなあと、推測しましたが、気になったので店員さんに絵について伺いました。

すると、店員さんからは意外なことを聞くことができました。

画家は斎藤真一と言う方で、高田出身ではないが、高田の瞽女さんに魅せられ、瞽女さんの絵や記録を多数残しているということ。

斎藤真一はかつて、パリに渡り画家を志しており、ヨーロッパのジプシーを題材にしていましたが、しっくりいかないとかころがあった。そんな折りに、乳白色の裸婦像や従軍画家として有名な藤田嗣治が、斎藤真一が探し求めているものは日本の瞽女さんではなかろうかとアドバイスをします。斎藤真一はその助言で日本に帰国し、瞽女さんと出会い、彼女達を描き、記録することをライフワークとしたということ。

また先述したとおり、高田にはかつて瞽女さんと呼ばれる盲目の旅芸人が多数存在したということ。

店員さんは懇切丁寧に以上のことを、説明してくれました。私は瞽女さんも斎藤真一さんも初耳だったので、説明していただいた内容は大変な衝撃を持ちました。

ここでは詳述しませんが、学生時代に内モンゴルへ旅をした時に、案内人の方から「旅と芸術は深く結び付いている」ということを教わったことや、先のブログでレビューしている有吉佐和子の『断弦』や、以前、演芸場で聞いた粋曲がやけに心地よかったこと、藤田やモリディアーニが活躍したエコールドパリにまつわることに以前から感心があったことなど今まで自分が生きてきた中で瞽女さんや斎藤真一さんに関係することが、頭を駆け巡りその日の夜はなかなか寝付けませんでした。

瞽女さんとの運命的な出会いを果たした高田での一幕でした。♪

↓お土産屋さんで購入した斎藤真一さんのポストカード。

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