【書評】サハリンの韓国人はなぜ帰れなかったのか 新井佐和子

書店で文庫本の新刊コーナーに陳列してあった本書を見つけ、題名の問いの答えを知りたくなり手に取りました。

サハリンの韓国人はなぜ帰れなかったのか―帰還運動にかけたある夫婦の四十年

サハリンの韓国人はなぜ帰れなかったのか―帰還運動にかけたある夫婦の四十年

 

まず、本書を通じて、戦前サハリンには多く日本人が移り住み、生活をしていたことや、日本人と同様、日本の支配下にあった韓国人の方々も多く住んでいたことを知りました。

そして、終戦後ソ連の支配下になったサハリンから多くの日本人が命から引き揚げてきましたが、日本国籍を失った韓国人の中には、不本意な形で何十年もサハリンの地に留まらざるを得なかった人が存在したということも知りました。

 

本書は、サハリンの地で知り合い、結婚した韓国人の男性朴氏と日本人の女性和子氏がサハリンの地で知り合い、結婚し、戦後日本に引き揚げた後、サハリンの地に留まっている韓国人たちを祖国へ帰還させるべく行った運動を記録したものです。 

 

筆者は、朴夫妻の運動をそばで支えてきた新井佐和子氏。新井氏は平凡な主婦であったが、ある時メディアでサハリン残留韓国人問題を知り、関心を持ち、少しでも役に立ちたいと思い、運動に参加したとのことです。朴夫妻の活動を少しでも多くの人に知ってほしいという思いで本書を書き上げています。

 

サハリン残留韓国人問題は様々な団体の利害が錯綜し、単純には語り得るものではなさそうだと、本書を読了して感じました。

 

また、朴氏は故郷の韓国に家族がありながら、移り住んだ先で和子という新たな妻を得ています。もう故郷に二度と戻ることはできないという諦めから、新たな家族を得ることとしたのですが、二つの家族を得ることになり、後に彼を取り巻く人々が困惑し悩むことになりました。これは戦中、戦後では珍しことではありません。時代に人々が翻弄されていたのだなと感じました。

 

I would like to know the answer that the title questioned.